4丁目の角に建つ和光本館(旧・服部時計店)です。
横側入り口
SEIKOの時計のポスター
裏側1Fの鉄格子窓
裏側から見上げた所
裏の入り口?
近くにはガス灯が・・・・
和光の裏手は銀座ガス灯通りなのです。
銀座4丁目交差点の角にある和光本館(旧・服部時計店)は銀座のシンボルです。時計台のあるこの歴史的
建物が子供の頃から大好きでした。この建物無しでは銀座ではないと思っています。
この建物の正面入り口付近に行くと、谷崎潤一郎作の「細雪」の文中で、美しい姉妹が服部時計店の前で
待ち合わせをする場面が脳裏に浮かんできます。
1881年に服部金太郎により創業された「服部時計店」は輸入時計、宝飾品の店を経て、腕時計の製造販売、
電子部品、電子機器のメーカーとして発展して行きます。
名前も1917年に株式会社服部時計店から株式会社服部セイコー、セイコー株式会社、そして現在のセイコーホールディングスと変遷して行きます。
1894年に建てられた「服部時計タワー」は1921年に取り壊され、第一生命ビル、横浜グランドホテル、日劇などをデザインした渡辺仁氏が設計を担当し、清水組(清水建設)が基礎工事に取り掛かっている最中にあの
関東大震災に見舞われ工事は延期せざるをえませんでした。
結局、建物が完成したのは1932年(昭和7年)のことです。震災の体験から建物表面にはテラコッタではなく、
強靭な御影石を選択したそうです。こうやって時計台付きのネオルネサンスの建物が出来ました。
この建物は戦災からは免れ、戦後は日劇、松屋百貨店などと同じく進駐軍のPX(売店)となりました。
昭和22年に小売り部門の営業を継承し、株式会社和光が設立され仮店舗でえいぎょうしていましたが、進駐軍
からの返還後の昭和27年に現在の本館に移転し、時計、宝飾品、陶磁器、バックなどの高級装飾品を本格的にスタートさせました。全ての源は「服部時計店」いあるのです。(現在もセイコーHDの傘下)
私のブログでも何回もこの建物を取り上げてきましたので、今回は建物横面や裏面の写真を撮ってきました。
本館表玄関はもちろん素晴らしく、建物の装飾や6個のそれぞれ違う紋章のレリーフは絶対に見逃せませんし、ウィンド―もいつも素敵ですが、あえて裏側に着目してみました。裏側は「銀座ガス灯通り」に面しています。
和光では時計台の時計を毎0時に「ウエストミンスターの鐘」を鳴らしていますが、東日本大震災後の2012年
からは、3月11日午後14時46分に特別に11回、その1分後に2回この鐘を鳴らしているそうです。
この話を知った時、私は涙をこらえる事が出来ませんでした。
建設中に関東大震災に遭った建物の時計台だからこそ、東日本大震災で亡くなられた方々への鎮魂の鐘としては一番ふさわしいように思います。どうかこの鐘の音が天国まで響いて行きますように、そして又、現在も被災地や移転先で辛く苦しい思いをされている被災者の方々への希望の鐘の音になることを祈ります。
☆銀座和光本館(旧・服部時計店)・・・・・東京都中央区銀座4-5-11
竣工: 1932年(昭和7年)
設計: 渡辺仁
施工: 清水組(現・清水建設)
地上7階、地下2階
鉄骨鉄筋コンクリート造り