俳優、演出家、画家、絵本作家など様々な分野で活躍されていた米倉斉年(よねくら まさかね)さんが
故郷の福岡の病院で亡くなられました。享年80歳。腹部大動脈破裂による急死だったそうです。
昔、叔母や姉と「劇団民藝友の会」に入っていたので、彼の民藝での舞台は何回も見ました。
ベテランの宇野重吉さんや滝田栄さんを支える名脇役でした。その演技は”内面をにじませた深みのある演技”と絶賛されました。(1957年民藝入団、2000年退団)
民藝の舞台の他にもテレビ(NHKバス通り裏にも出ていた)、NHK大河ドラマや民放ドラマ、映画などで
大活躍していました。
画家・絵本作家としても有名で、ボローニャ国際児童図書展で2回連続、グラフィック大賞を受賞しています。
受賞作品
私の大好きな2人のジョイント絵画展
米倉斉加年さんの最大の思い出は、何十年も前、紀伊国屋ホールでの公演が終了してから新宿の小さな
飲み屋さんの2階で米倉さんや他の方々と一緒にお酒を飲んだことです。
わずか4.5畳くらいの狭い部屋でテーブルも何もありません。畳にじかにお酒を置いて飲んでいました。
私の目の前に米倉さんがいらして、膝と膝が触れ合うくらいの近さでした。
私がうっかりして畳に置いていたお酒をひっくり返してしまうと、優しく「大丈夫?」と言ってハンカチで拭いて
下さいました。私は恥ずかしくて穴にでも入りたい心境でした。
お酒を飲みながら、米倉さんは目を輝かせながら演劇のこと、絵のこと、絵本のことなどを熱く語っていらっしゃいました。”永遠の青年”という風情にとても惹かれたのを覚えています。
その後、西荻窪駅前で左翼系の方の選挙応援演説をされている姿を拝見し、しばらく拝聴していました。
米倉さんと私の思想は重なる部分が多く、戦争絶対反対という姿勢に共感していました。
ついこの前まで米倉さんは、憲法9条改憲に反対されていました。
この文は米倉さんの遺言であると、思っています。
米倉さんの急死は辛く、とても悲しく思います。米倉さん、お疲れ様でした。
あなたが残して行って下さった様々な物を大切にしたいと思います。
あなたにお会いできて本当に幸せでした。
米倉斉加年さんのご冥福を心からお祈り致します。 合掌。