もう何度も何度も載せているビルですが、性懲りもなくまた載せさせて頂きます。
堀商店ビル
レトロなビルです。
エントランスへの石段(左右にHの文字が刻んであります。)
新橋日比谷口を出て虎ノ門方面に向かう大通りの途中、ビルの合間にこのスクラッチタイルのレトロで重厚なビルが突然姿を現します。
今までも何回も記事にしてきましたが、昔からの我が愛するビルですので何卒ご容赦ください。
新橋に来るといつも真っ先にこのビルの存在を確認しに行きます。重要文化財であろうと、登録有形文化財で
あろうと歴史的建造物であろうと、油断していると、いとも簡単に壊してしまう国なので、いつもまだ在るのか心配しています。
安否確認した後は毎回写真を撮ってきてしまうのはニコライ堂や絵画館などと同じです。
合資会社「堀商店」は1890年(明治23年)2月の操業で、今年で127周年になりました。
創業当時は米国の錠前や建具金物などの輸入販売をしていました。
明治40年頃の資料によると、錠前の他に塗り込み暖炉、置き暖炉、西洋大小便器、装飾用ランプ、ガスランプ一式、室内装飾用金具、店頭陳列装飾金具なども扱っていたそうです。
大正の初め頃には既に自社による錠前、建物金具、船舶金具などの製造販売を行っていました。
現在も鍵、錠前各種、レバーハンドル、ノブ、蝶番(丁番)などの製造販売、特殊建築金物の受注生産、そして
インテリア小物、(置物、灰皿、キーケース、パスケース、くるみ割り、オイルランプなど)も販売しています。
明治41年に建てられた初代の建物は三角屋根の塔屋のある木造の洋風建築でしたが、関東大震災により
消失、2代目の現在の建物は1932年(昭和7年)に建てられた鉄筋コンクリート造り、4階建て塔屋付きです。
外壁は英国から運んできたスクラッチタイル、水平の窓、鍵と錠前をデザインしたレリーフ、テラコッタの装飾など
モダニズムと中世風が混在したデザインとなっています。角地にあるため、エントランス部分を円形にしたそうです。4階建てのこの建物の特筆すべき事は4階(最上階)が住居になっていることです。
(1Fがショールーム、2~3Fは事務所)東京の当時の商業ビルに多く見られる設計だったようです。
そういえば1昨年だったか残念ながら取り壊されてしまった「九段下ビル」(震災復興ビル)も上階が住居用に
なっている設計でした。
堀商店ビルの最上階の住居用部分は中廊下形式で台所が併設された茶の間、床の間のある和室、応接間、
暖炉のある寝室など和洋折衷の住宅になっているそうです。独立型の住居でも和洋折衷様式が多くみられた
昭和初期の代表的な住居空間だと思います。一度、ぜひ内部を拝見させて頂きたいものです。
「昭和初期を代表する商業建築。近代東京の商業地区の都市住宅の系譜を知る上でも貴重な建物」
(出典:港区歴史建造物所在調査報告書からの1部抜粋です。)
☆堀商店ビル・・・・・・東京都港区新橋2-5-2、JR新橋駅徒歩3分
TEL: 03-3591-6301
竣工: 1932年(昭和7年)
設計: 久保敏雄と実兄の小林正昭との共同設計
(小林正昭は国会議事堂や明治神宮外苑”絵画館”などを設計した大蔵省技師)
施工: 安藤組
鉄筋コンクリート造り4階建て、塔屋付き
外壁: スクラッチタイル(英国産)
登録有形文化財、歴史的建造物に認定