昔、吉祥寺にデパートが一軒もなかった頃、唯一あった商業複合ビルの吉祥寺「名店会館」です。
吉祥寺駅前から見た「名店会館」、ランドマークでした。
1971年まで「名店会館」はあったので、覚えていらっしゃる方も多いのではと思います。
私は長い間、この「名店会館」を「のれん会館」という名前だとばかり思っていました。
その後、間違いに気が付きました。西荻窪にあった2階建ての商業施設が「のれん会館」で、吉祥寺は
「名店会館」でした。どちらも小学生の頃にあった建物なので記憶間違いをしていました。
そして残念な事に両方とも無くなってしまいました。
「名店会館」は1959年(昭和34年)3月に、吉祥寺初の商業ビルとして北口に開業しました。
建物は地上6階建てで屋上には広告塔がありました。
この広告塔と建物上階は吉祥寺駅から眺める事が出来ました。まさにその当時のランドマークでした。
館内は洋服専門店や小物店、飲食店の他、上階には日本のカルチャースクールの草分けの「産経学園」が
ありました。吉祥寺にまだ一つもデパートなどが無い時代なので、いつも親子連れなどで混雑していました。
屋上には私は行ったことがありませんが、ゲームセンターなどがあったようです。
小学生の頃、お正月にお年玉を貰うと早速、友達と「名店会館」に行くのがとても楽しみだったことを思い出します。友達4~5人で一駅電車に乗って行くのですが、お正月前からワクワクして待ちきれないほどでした。
「名店会館」でちょっとした小物などを買い、帰りに駅前のフルーツパーラーでチョコレートパフェを食べるのが
何よりも楽しみでした。小学生のちょっとした”夢の時間”でした。
昭和40年代に入り、武蔵野市は駅や周辺の整備を始めます。
1969年(昭和44年)12月1日、駅ビル「ロンロン」開業。
1970年(昭和45年)11月、京王の駅ビル「ターミナルエコー」が開業。
1971年(昭和46年)伊勢丹吉祥寺店開業、「サンロード」がアーケード化される。
この他、「緑屋吉祥寺店」などもあり、競争が激化して行き、
「名店会館」は1971年6月に閉館。13年間の歴史の幕を閉じました。
かつてのランドマークだった建物は解体され、跡地に「東急百貨店吉祥寺店」の建物が建てられました。
今でも、あの屋上の広告塔などを懐かしく思い出します。
昭和の良き時代でした。